2017-06-01から1ヶ月間の記事一覧

実態

無傷のまま切り裂かれる、通り魔は不在のまま、実在のない世間だ。世界はいつも無自覚で、絶やしようのない根源に、僕らは怒れないまま、食堂のコップの水垢や、そういったどうだっていいものに苛立って、そんな自分を嫌悪する。ループ。吊橋の先、地面から…

夢がある

夢っていつまで持ってていいものなのだろう。 いつまでだって持っていていいよ、と人は言うだろうが、きっとそれには、「今守るべきものを犠牲にしなければ」と前置きがつく。犠牲を払わなければ辿りつけない場所に夢があるなら、その夢は持っていていいもの…

淡い夏

透明なものは、あってないように見える。それでも、触ればそこにあるし、光は屈折していくし、色なんて、あってもなくても変わらないのかもしれない、と思う。ただ、君が着ていた黄蘗色のカーディガンが眩しかった。遠ざかっていく君から、淡い夏の香りがし…